JGFA会員の皆さま そして すべてのアングラーの皆さま

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、釣りを自粛された皆さま、その後いかがお過ごしでしょうか。
大変なご不自由にこころからお見舞い申し上げます。
同時に、先の見えないウイルスとの闘いに崇高な自己犠牲の精神で奮闘された医療関係者の皆さまに、深く感謝します。
私は、ときに家族の不平を背に受けても、釣りに出かけていた皆さまが、よく我慢を続けてこられたと尊敬の念を禁じ得ません。

 要因は明瞭ではありませんが、日本が他の先進国と比べて、驚異的にウイルス感染を封じ込んだことは、現時点では確かなようです。
そして、不十分ながらも徐々に日常が戻りつつあります。ウイルスの性質についても、少しずつ科学的な知見が得られつつあります。
検査の方法や態勢も多様になり充実してきたようです。
ソーシャルディスタンスのとりかた、食事のスタイル、公共交通機関の利用法、熱中症とマスクの関係、フェイス・ガードが必要なケースも示されたように思います。
よりよい行動の基準・規範が提示されはじめています。いわゆるニュー・ノーマルの提唱です。
そして、釣りの自粛も解除可能の模様です。「さあ、釣りに行こう」と申し上げたいと思います。

 ただし、それにはまだ一定の条件があります。それは、国や地方自治体、そして専門家から出される情報に耳を傾けることです。
また、漁業関係者の皆さまの動向も注視しなければなりません。
ご承知のように、東京都は、緊急事態解除後しばらくして「東京アラート」を発動しました。都庁舎は毎夜、赤く聳えています。
北海道、北九州市も芳しくない状態が続いています。中国地域のように、県境をまたいだ移動が可能とされる地域も確かに増えています。
状況は、まだら模様です。その一方で、日本の医療状況は、入院患者の減少によって崩壊状態ではありません。
しかし、これまでハードワークで、病院の経営状態や人材不足は深刻です。

 このような段階だからこそ、一人一人の意識の高さが問われます。あなたの地域では、釣りに行ける環境、条件はどのように整っているのか、を諸機関の情報から自身で判断しなければなりません。これは大変重要です。
なぜなら、自分が感染しないこと、そして新たな感染源にならないという保証が一切ないことに変わりがないからです。
私はこの前のメッセージで、「私たちが手にする武器は、フェイスマスクと手洗い消毒のみです。あとは、ウイルスに増殖する場所を与えないよう、人と人の接触を極力抑制するために社会的距離を保つことしかありません。非常に心許ない、いわば専守防衛に徹する状態です」とかきましたが、これも変わっていません。
すさまじい流行と死亡率を記録したスペイン風邪のパンデミックと第2波と同様のことがこれから起きることを想像すると背筋がぞっとするのは私だけではないでしょう。

 私は、アングラーの皆さまにこの気持ちを共有していただきたいと心から願っています。
現在の基準では、周りに誰もいないオープンエアで行う釣りは、マスクが不要と思われます。
ですが、複数のクルーやアングラーが乗船するオーナー・ボートでは、装備家具などに消毒が必要かもしれません。
また、その他さまざまな工夫が必要でしょう。いつもより手間のかかる釣りになるかも知れませんが、それも喜びではないでしょうか。
「釣りで死ねたら本望」などと嘯く友人がおりました。
彼は、釣行中に岩場から滑落、九死に一生をえて「生きていてよかった」と申して、釣りに励んでおります。
家族、友人、そしてあなた自身が健康でいなければ、「いい釣りをいつまでも」はありません。
生涯の素晴らしい喜びのために、これまでの緊張感を持続しましょう。

 
2020年6月8日
JGFA会長 長鋪 毅一郎