クロマグロ採捕禁止についての意見表明

 釣魚保全委員会報告:クロマグロに関する水産庁・広域漁業調整員会出席報告 
 2021年7月29日、同7月30日に、水産庁の「広域漁業調整委員会」が開催され、森聡之・釣魚保全委員がJGFAとして発言したので以下の委員会出席報告、および当日の発言内容をご報告します。森聡之委員のWEB会議出席報告は以下の通りです。(当報告、および発言内容は当協会の承認を得て公開しております。)
 
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 JGFA釣魚保全委員の森聡之です。2021年7月29日&30日の2日間、水産庁・広域漁業調整委員会におけるクロマグロ遊漁の規制に関する会議にJGFAを代表してWEB参加してきましたのでご報告いたします。

  背景としましては、国際的な枠組みで行われているクロマグロの資源管理の中の日本の漁獲枠に遊漁の漁獲枠が設定されていないこと。昨年までは沿岸漁業の漁獲枠が枠いっぱいに迫った際に、遊漁も道連れのような形で閉ざされてしまうシステムでしたが、今季からは遊漁に漁獲枠は与えられてないものの、沿岸漁業とは別で管理し始め、採捕の際は報告を義務づけたことがあります。そして、2021年6月1日より水産庁の想定を大きく上回る報告が相次ぎ、水産庁が保有している留保枠の内、遊漁に使える部分をオーバーしてしまいそうな事態になったため、今回緊急で会議が開かれ、対策が議論されました。
 
JGFAとして、「いい釣りをいつまでも。」を続けるために、科学的根拠に基づく資源管理の取り組みには賛成であることをまずは表明し、過去そして現行のJGFAの取り組みを紹介しました。

 クロマグロ遊漁の資源管理に対するJGFAとしての提案として、遊漁の資源管理は国際的な資源管理のスタンダードな手法である、キープ量の管理をベースとし、釣りは周年で続けられるように要望しました。リリースする魚の生存率を考慮して、漁具の規制も同時に導入すること、そしてキープする部分に関しては、バッグリミットを設けることを提案しました。そして、円滑なレギュレーションの周知と違反の取り締まり、未来の遊漁のためのデータ集めの資金として、ライセンス制の導入を提案しました。その根拠として、遊漁の経済効果が無視できない程に大きいこと、そして先の改正漁業法の中で、「資源管理については、国際的にみて遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法とする。」と、明記されていること等を挙げました。
 
 一部の漁業者からは反発もあったものの、水産庁、そして多くの漁業者の方々からも前向きな回答を得られました。将来的な管理手法として、JGFAからの提案の順次導入を検討する余地があるとの回答を得られたことをご報告いたします。ライセンス制に関しては現行法では難しいと水産庁からの回答でしたが、漁業者からもライセンス制のメリットは十分にあり、できないというのではなく進めるべきであると、水産庁へのコメントがありました。
 
 今回の会議での決定事項としましては、遊漁の採捕の報告が更に重なり、資源管理に支障が出る恐れが出た際にはクロマグロ遊漁の採捕の禁止の指示が出ること。違反者には法的根拠に基づく罰則があること等が決まりました。委員会の詳細な発言内容につきましてはJGFAに予め承認いただいたもの(以下の発言内容)をベースに話をしたことと、いずれ水産庁・広域漁業調整員会のホームページで議事録が公開されますので、そちらをご参照ください。 
このような場への発言の機会をいただき、ありがとうございました。

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以下は、当日の発言内容です。

【2021.7.29~7.30 広域漁業調整委員会でのJGFA発言内容】
 JGFA釣魚保全委員の森聡之です。
私は普段は東京湾で遊漁船の船長をしており、一昨年より農林水産政策研究所のスズキの資源調査に協力させていただいております。今年からは、農林水産政策研究所と東京大学と連携してAIを用いた漁業者や遊漁者自身が報告可能な資源管理に有効な海洋観測データの検証研究にも協力させていただいております。 
 JGFAとしましては、今回のクロマグロに限った話ではございませんが、科学的根拠に基づいた資源管理、およびそれに伴う必要な規制に対しては賛成であることをまずは述べさせていただきます。

 JGFAは「いい釣りを、いつまでも。」というスローガンを掲げて活動をさせていただいております通り、我々は持続可能な豊かな資源状態での釣りを求めております。そのためには、我々遊漁者も釣り放題、持ち帰り放題ではダメなことは重々承知しており、JGFAでは2003年より会員、および一般アングラーに対しても自主ルールとしてのバッグリミットを推奨していることからも、資源管理には前向きであることをご理解いただけるかと思います。

 今、日本ではクロマグロ遊漁を採捕停止にする、しない等の話が出ていますが、遊漁の経済効果を止めてしまうことは国益に叶いません。遊漁者は地方創生にも大きく貢献していますし、600万人以上いるといわれる遊漁者ですが、その遊漁で成り立っているような町も日本には多くあります。それを9000トンのうちのたったの10トンで、採捕禁止、つまり狙うことすら許さないというような議論が出ることは、全くもって国益に叶わないことは明白ですし、水産資源は漁業だけのためにあるのではなく、釣りやエコツーリズム等、様々な利用の形態があり、それぞれの業界が国に貢献していることもお忘れなきよう、よろしくお願いいたします。釣りは遊びだから二の次、漁業は仕事だから優先という意見も聞きますが、特にクロマグロにつきましては、ごく稀な岸からの釣りや、一部の個人所有のプレジャーボートを除いて、遊漁船を利用して釣りに行っています。遊漁船業は立派な仕事ですから、仕事だから優先という理論があてはまらないこともご理解下さい。

遊漁の資源管理についてですが、海外での資源管理の例にあるように、キャッチ&リリースを前提とした遊漁では漁獲枠を消費しないことが国際水準の資源管理ではスタンダードとなっておりますので、まずはキャッチ&リリースの遊漁を周年で続けさせることを大前提とした上で、あとはキープ量、つまり遊漁の漁獲枠をどうするか?とか、リリースのために必要な釣り具の規制はどうするか、というような議論をするのがよいかと思います。先の漁業法改正の際にも「資源管理については、国際的にみて遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法とする。」と、明記されていますので、国際的に見て遜色のない遊漁の資源管理とは、まさにキープ量の管理で、遊漁は周年続けさせてニーズに応えつつ経済効果を止めない。その上で、キープする量に規制を入れる。これを日本においても実行することが進むべき道だと認識しています。

遊漁の漁獲枠につきましては、例えば全国で何トン、これを都道府県毎に振り分けて・・・等と、漁業者の管理方法と同様にすればよいかと思います。そして、漁獲枠の70%まで来たら、キープは禁止にしてキャッチ&リリースに切り替えれば遊漁は周年で釣りを続けられるかと思います。残り30%は違反の摘発で枠を消費しないようにとっておくのが望ましいかと思います。もちろん、取り締まりと罰則はかなり厳しくしてレギュレーションは必ず守らせることが必要です。

 釣り具の規制としましては、特にキャッチ&リリース前提の場合はシングルバーブレスフックを1つのルアーに対して2本まで等とすれば、リリースもしやすく、リリース後の生存率もかなり高くなるかと思います。餌釣りの場合はサークルフックを義務化し、針がはずし難い場合はリーダーカットでリリース。道具も不必要にファイトを長引かせないように、海域や時期によっては強めの道具を義務化する等、海外における管理例を参考に、日本でもレギュレーションを順次導入するのが望ましいかと思います。もちろん、キープの際にもバッグリミットは必要で、現状ですと尾叉長120cm以上(これがおよそ30kg以上です)、これを1人1日1本までで良いかと思います。参考までに、同じ資源であります太平洋クロマグロですが、アメリカ西海岸では1人1日2本までとなっています。資源管理については、海外とそん色の無い管理と明記されていることは先程述べましたので、これも参考にしていただきたいと思います。

 まずはキャッチ&リリースの遊漁を周年で認めて、報告を義務化して遊漁のデータをとって欲しいと思います。今年は採捕報告が始まってすぐに、九州、日本海エリアは遊漁自粛となっていますが、これを道具の規制とともにキャッチ&リリース前提で解放して、データを集めて未来の遊漁の管理に繋げて下さい。採捕禁止で、狙うことすら許さないという状況では、経済的にもマイナスですし、データ取りの面でも遅れてしまいます。

 もう一つ提案です。
クロマグロの遊漁に際し、ライセンス制にしてはいかがでしょうか?
狙ってよい、キープしてよいのは予めライセンス(申し込めば誰でも購入できるもの)を購入した者のみ。釣れたらライセンス番号と共にデータの報告を義務化。ライセンス料はこれらのデータ管理や違反取り締まり費用、未来の遊漁のための研究費用として使えばよいかと思います。ライセンスを未購入の方はもちろん採捕禁止でよいかと思います。
最後に一点、遊漁に対する採捕禁止の意味合いを明確にしていただきたいと思います。一部ではキャッチ&リリースは認められるとか噂になっておりますが、河川に遡上してきたサケマスは採捕禁止で、これに関しては特別な許可がない限り、基本的にはキャッチ&リリースも認めないという理解が浸透していますので、今後遊漁に何か規制をかける際には一般の遊漁者がわかりやすいように、細かな部分まで明確にしていただきたいと思います。

 以上がJGFAからの提案です。
最後に、このような場に遊漁団体としてお呼びいただき、発言の機会をいただけたことに感謝いたします。
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