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JGFAのオオクチバス等外来魚に関する考え方


NPO法人                     
ジャパンゲームフィッシュ協会 会長 岡田順三

2005年1月下旬、環境大臣の判断で、それまで慎重に審議されていたオオクチバスについて、急遽、外来生物指定対象候補とされたことはご存じの通りです。当協会としてもこの決定方針には納得しかねる部分が多く、会員の皆さん、そして、多くの釣りを愛好する方々とともにこの決定に対して反対の意思表示をしたいと思います。以下は、従来より当協会がオオクチバスに関して表明している考え方です。ご一読をお願い申し上げます。
また、会員の皆さんには、環境省がこの件に関するパブリックコメントを2005年3月2日(水)まで(当日17:30必着)受け付けておりますので、ご意見をぜひお出しいただきたいと思います。(提出方法はもう一つのホットニュースをご覧下さい。)

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【有効利用が可能なフィールド、もしくは有効利用されるべきフィールドの適性な判断と管理を。】

現在のオオクチバスを含むブラックバス害魚論は、環境破壊などの誤解をまねく言葉であたかもこの魚が環境に非常に悪影響を与えているといった印象を一般に広めてしまいました。環境とは生息する生物だけでなくそれを取り巻く山や、水辺の植物、水などといった広範囲におよぶもので、ブラックバスが影響を与えるのはその環境の中の魚類構成だけです。一部の在来種などの減少は、水辺を取り巻く環境の悪化などが主原因であるケースが多く、むしろ環境保全が固有種ならびに生物にとって一番大切なのは言うまでもありません。事実、豊かな自然環境を保った水域では、固有種とブラックバスが共存し、釣り人にとってもかけがいのないフィールドとなっています。
ブラックバスの魚食性が害魚論の原点でありますが、日本の内水面に生存する魚食性のある魚種は他にもナマズやヤマメ、イワナなどの日本古来の魚種から、ニジマス、ブラウントラウトなどの外国からの移入種も含め多く生息しています。単純に魚食性だけを取り上げて害魚とするのはおかしな話です。もちろん、その生息により著しく魚類構成が著しく変化しうる水域では慎重な判断が必要であり、貴重な日本古来の固有種が生息している水域でのブラックバスの生息は好ましくありません。場合によっては駆除も必要となる水域もあると思います。しかしながら反面、日本の内水面管理は漁業者を含めた人間の利用のもとに外来種も含め多くの移入種が導入されており、それらを有効利用してきました。また、誕生して歴史の浅いダム湖など人工の湖までに固有種の考え方を適用するのはあまりに極端な原理原則主義ではないでしょうか。そのような考え方で移入種を否定することは、これまでの行政を含めた内水面管理の仕方そのものを否定することとなり、ブラックバス以外にもわれわれ釣り人の貴重なゲームフィッシュの多くがその存在を否定されることになりかねません。
人にとって何が害であり、環境にとって何が良くないのかを冷静に判断し、適切な管理のもと漁業者だけでなく釣り人も含めた上での有益な魚類構成を真剣に考え、それを取り巻く自然環境をまず守るべきだと思います。
また、ブラックバスはスポーツフィッシングの精神により、釣り人の間ではキャッチ&リリースが定着していますが、本来食べることもできる魚です。誤った調理法によりマズイといった誤解を生んでいるのも害魚とされる大きな要因です。もともとブラックバスは食資源としての価値もあり、有効利用は釣り人だけではなく多くの国民の食タンパクとしての価値もある、として日本に移植されました。現在ではこのことが見落とされています。つまり釣り人、漁業者はもとより、多くの国民にとっても本来、有益性のある魚なのです。ブラックバスは実に多くの誤解を受け害魚とされているのです。
また、全面駆除のような手法がとられれば、多くの釣り人に利用されている現状に全くフィットしないばかりか、釣り人の存在を無視した考えと言わざるを得ません。
現在、ブラックバスが有効に利用されていると思われる水域で、漁業権魚種として認定され適切に管理されている水域は残念ながらごくわずかです。また、その実情が正確に把握されている水域もわずかです。すでに魚類構成としてブラックバスが入っている水域で有効利用を前向きに考える姿勢も必要であり、ブラックバスは有効利用に充分値する魚だと思います。
今後、ブラックバスの有効利用をふまえた水域ごとの適切な管理をし、魚だけの管理ではなく自然環境の保全も含めた総合的な水辺の環境整備を行い、ブラックバスを有効利用しながら在来種や水辺の自然を守り次世代のフィールド作りへと目を向けて欲しいと思います。



【JGFAからの提言】

管理されている水域がごくわずかなブラックバスは釣り人によるキャッチ&リリースが釣り場維持にとても大切です。しかし、他のフィールドへの移植は絶対に行わないことも同じようにとても大切なことです。ブラックバスをとりまくルアーフィッシングにおいては、ゴミ投棄、ルアーの放置などさまざまな問題が起きています。そこで、釣り人のルール、マナーを高めるための具体策や啓蒙活動を、地元、行政などと協議する場を作るべきでしょう。(向こう5〜10年間のプロジェクトを作る。特にゴミ、ルアー投棄など。)