年頭のご挨拶

JGFAメンバーの皆さま。アングラーの皆さま。
新年にあたり一言ごあいさつ申し上げます。

  私たちは、Covid−19パンデミックの渦中で2021年を迎えます。昨年の1月下旬、大型クルーズ船内の感染以来、今、第3波が襲来しています。
同じく昨7月には、鹿児島と熊本を中心に豪雨災害が発生し、パンデミック下の避難という困難に直面しました。
罹患また、被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。そして、すべてのアングラーには、これまで以上の警戒心ある行動をお願いしたいと思います。

 さて昨年は、JGFAにとって、うれしいニュースもありました。9月28日、カリフォルニア州サンクレメンテ島近海で、JGS-180339のタグをつけた66.04 cmのクロマグロが再捕されたのです。
これは、JGFAのタグでした。2019年11月2日、和歌山県すさみ沖からの放流でした。そのとき35.0cmの魚体は、11か月の日本近海から太平洋を横断の旅で約1.9倍に成長していました。

  これに先立つ4月6日には、2017年にタグ&リリースしたマカジキが再捕されました。見かけ上の移動距離は約280キロですが、940日後の再捕は再捕期間記録の更新です。推定40kgで茨城県大洗沖からタグ&リリースされたと分かりました。

  6月26日、高知県からはJG-55782のタグをもつアカメ再捕の報告がありました。これは、初回のタグ&リリースから7回目のキャッチで、自らの最高再捕回数記録の更新でした。タフなのか不用意なのか、JG-55782君はすっかり有名です。もちろん、また海へと戻っていきました。

 このような事例をご紹介するのは、タグ&リリースにはキャッチ&キルの釣りにはないスポーツフィッシングのロマンと醍醐味を感じるからです。バッグリミットも同様です。そこには、釣魚を無駄にする空しさはありません。そしてその記録は、「いい釣りを、いつまでも。」のための科学的な基礎データです。
上記のクロマグロ再捕は、全米熱帯マグロ委員会(IATTC)によってデータがとられ、日本の水産資源研究センターへ寄せられたのです。
とはいえ、タグ&リリースやバッグリミットの取り組みは、まだ普及していません。釣獲量を競う傾向は根強いのです。飲食店や遊漁船などの釣魚買い取りも後を絶ちません。

  私たちはまだ少数派です。しかし、この釣りの思想は、少数派のためのものではありません。釣りを愛するすべての人々のためにあります。
 Covid−19パンデミックは、ペストやスペイン風邪のパンデミックがそうであったように、人々の生き方や社会的な関係性をラディカルに変えると言われます。それは、なすがままに身を委ねた結果ではありません。危機の時代は、自らを変えようとする者のみに歴史の扉を開くのです。
大袈裟に例をひけば、クルマ社会を化石燃料から電気シフトさせる世界的宣言は、この時代だからこそなお意義深いのです。
私たちの社会には、まだ、逆境をポジティブに変換する力量があります。

  皆さま。私たちアングラーも当然、危機にあります。何もしなければ失う物は大きいと思います。より合理的、かつロマンあふれるスポーツフィッシングへと舵輪をきりましょう。
JGFAは、タグ&リリースやバッグリミットの普遍化で危機を乗り越えたいと思います。私は、パンデミックの渦中で迎える新年を、とくに「いい釣りをいつまでも。」への新たな機会にしたいと願っています。

NPO法人 ジャパンゲームフィッシュ協会
会長 長鋪毅一郎